La raison pourquoi je vais pour le voyage

旅行とフィギュアスケートの観戦&鑑賞記録

Art on Ice 2019@Zurich Hallenstasion

2019年のArt on IceのテーマはTime to Time。

スチームパンクの世界観で作られた数々の舞台装置、衣装、照明、映像などで不思議な世界へ誘います。

 

2年間Art on Iceを見に来てなかったわけですが、そんな私には結構ガラッとショーの印象が変わった感じでした。それは良くなったとか悪くなったということではなく、方向性が変わったというか。

以前のショーもスケーターだけでなくステージ上のミュージシャン、ダンサー、映像と見どころは万歳だったけどそれでも主役はやっぱりスケーターという感じでした。特にステファンなどスタースケーターがやっぱり主役で。

それが今年は誰が主役のショーかと言われたら「ショー自体が主役」と答えたくなるような演出に変わっていました。

 

前々回ぐらいから設けられてるらしい明確なテーマとそれに沿った演目と演出。

正直、スチームパンクっていう言葉自体そんなに前から知ってたわけじゃないんですが、ちょっと前に「ニノさん」で「スチームパンクを世に広めたい」っていう人を見て、「ああ、こういうジャンルってスチームパンクっていうんだ」って知ったところでした。タイムリーだね。

 

そんなテーマに沿って繰り広げられる群舞多めの演出。Art on IceのFacebookには出演が告知されていたのに公式web siteには全然名前が載らなかったElladj Balde、Misha G、Ivan Righini君ですが、Art on Ice群舞スケーターに交じって大活躍でした。ほとんど出ずっぱりと言っていいじゃないかという感じで何度も何度も登場して、そしてただの群舞の一人としてじゃなくてちゃんとソロナンバーやソロの見せ場がたんまりある。はっきり言って、彼らのファンのほうがこのショー見てて楽しいんじゃない???といったぐらい。MishaのLove Yourselfの振付が可愛い。

vimeo.com

 

ミュージシャンも以前は後半にメインのミュージシャン、前半はちょっとパワーダウンしちゃうかな?って感じの数人のミュージシャンで請け負うことが多かった気がするけど(Leona Lewis2cellosだった年はスーパー豪華だったけど、それでもやっぱりLeonaだけをスーパースターだって紹介する演出だった)、今年は前半がスイスの超人気アーティストのStefanie Heinzmann、後半がステファン・ファンにはYou’re Beautifulでお馴染みのJames Blunt

 

私はStefanieさんを全然知らなかったし、Art on Iceの前にミュージシャンの予習なども全然しないのでStefanieさんがどんな声でどういうジャンルの歌を歌うミュージシャンなのかも知りませんでした。ただArt on Ice公式web siteに乗っている顔写真しかみてなかったので、何となく写真のイメージだけで勝手にカントリー歌手っぽいとか思っていました。

……すまん、全然違った。あのアラレちゃんめがねに騙されてた。

Stefanieさんはソウル・ポップミュージシャン。ボンテージ風な衣装に身を包んで、力強くハスキーな声で歌う姿は超かっこよかったです。

特に登場の演出がかっこよくてうぉぉぉぉぉ!!!ってなります。

ステファンがStefanieさんとコラボする曲はC2C。ステファンはロングサイドのショート寄りぐらいの位置の柵の上からリンクに飛び込んて登場!衣装は2部のプログラムで使う衣装のベストを脱いだだけのひらひらドレスシャツ!曲には全然合ってないけどまあよし!

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↑リンクに飛び込む前のスタンバイ中を激写

 

曲がノリノリなのでステファンの演技ももちろんノリノリ風。こういう曲調出の滑りだとあのゼブラっぽく見える金色のVersace(だったかな?)のシャツが脳裏によみがえります。

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↑ゼブラに見えるけど明確なゼブラではない。

でも私が見た回は残念ながらジャンプがあれれ?って思うことが多くて、後で感想を聞かれたときに言葉に詰まりました。とっさに「スーパークールで素敵だったよ!」とか言えればいいのに。

 

そう、今回のショーは舞台装置やら大道具やらめっちゃめちゃ豪華で(飛行船や天井からつり下がっているステージまで出現!)いつものショーよりお金かかってるなー!という印象があったんだけど、実はミュージシャンもスケーターもほとんどお着替えがなかったり、パンフや無料配布物のお土産がなかったり、いろいろ削れるものはがっつり削った印象。オープニングとフィナーレの衣装とか、確かに意味不明な衣装もたくさんあったけど(紫の妖精さんとか…)何気に楽しみにしてたんだけどな。

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↑紫の妖精さん

 

Tatiana Volosozhar & Maxim TrankovのLittle Universも本当に二人の世界にぴったりはまった曲。二人の魅力はともすれば「女性を輝かせるための男性」、あるいは「二人それぞれが主役」になりがちなカップル競技において「二人で一つ」であることだと思う。二人でやることなんだから当たり前のことなのかもだけど。ユニゾンっていうよりも溶け合っている感じ。もちろんダイナミックな投げ技は彼らの持ち味だけど、それら無かったとしてもうっとりと浸れるペアです。

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後半はいよいよJames Bluntの登場。

ピアノ、ギターを巧みに操り、切なく優しい歌声で泣かせてくれます。

もちろん代表曲のYou’re Beautifulも披露。でもこれはステファンではなくAljona Savchenko & Bruno Massotの平昌オリンピック金メダルペアが。

この2人の何がすごいって、完全にAljonaがペア界のリビングレジェンドで凄いんだけど、それに短期間でついていけて国籍まで変えて支えていけたBrunoってまじ凄くね!?ってこと。Aljonaが動きたいように、美しく見えるように、支え続けるBrunoマジI K E M E N☆

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ステファンはGoodby My Lover。とても気持ちの入ったエモーショナルな演技。

(しかし衣装がショーのテーマには沿ってるんだろうけどここのプログラムには全然合わさって無さげなところが口惜しい…)

途中ベンチに座って恋人へのメッセージをノートに書くという演技があり、その内容がスクリーンに映し出される。(もちろんステファンの字じゃないけど) 電車にのって出発する(愛する人と別れる?)前に愛する人への愛の言葉を綴る。

その後心臓(ハート)に手を置いて大切に気持ちを込めながら滑り、振り切るようにGoodby My Loverというサビの歌詞のところでアクセルを2回。このぐっと想いを込めるような振付のところが特に好き。

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 スタースケーターがメインのショーじゃないと書きましたが、ショーのトリがスケーターじゃないところでもそれが表れてたと思います。ちなみに過去私が見ていた数年は全部後半の大トリはステファンでした。

今年の最後のプログラムの見せ場はなんとサーカス!CIRQUE ELOIZEの掌の上でバク宙するという人間離れした技で度肝を抜かされます。

こういうところもスタースケーターが抜けた後のArt on Iceをどう盛り上げていこうかという工夫の表れなのかなとステファンの発表があった後には思ったりしました。

オリバーさんとステファンたちが前々からたくさん話して相談しあってArt on Iceの方向性を何年も模索してきたのかなとか考えてしまいました。

 

そしてフィナーレ。すべてのスケーターやダンサーの群舞があり、一発芸(?)を見せてくれるのは日本のショーと一緒です。

最後はステファンのクワドチャレンジとスピンで〆。

このスタイルがどう変わっていくのか、来年のArt on Iceを楽しみに待ちたいと思います。

 

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